新生児マススクリーニング検査(先天性代謝異常症等検査)

新生児マススクリーニング検査とは

新生児マススクリーニング検査とは

知らずに放置すると障害の出てくるような病気を、赤ちゃんのうちに見つけ、障害の発生を予防する公的事業です。
日本では1977年(昭和52年)から検査が開始され、ほぼ100%の赤ちゃんが受検しています。
検査の実施主体は都道府県および政令指定都市で、当協会では年間約3万人の赤ちゃんを対象に、計20疾患の検査を行っています。20疾患の検査は自治体の公費で行うため、保護者の検査費用負担はありません。

新生児マススクリーニング検査の対象疾患

大きく分けて、先天性代謝異常症と内分泌疾患があります。

先天性代謝異常症 内分泌疾患
“代謝を行う酵素”に生まれつきの異常があるために体内で栄養素のバランスが乱れ、臓器に障害をおこす病気
ガラクトース血症、アミノ酸代謝異常症など
計18疾患が対象
“ホルモン”に生まれつきの異常があるために、知的障害や成長障害をおこす病気
先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症の
2疾患が対象

検査を行う上で、対象としている20疾患以外の病気が見つかる場合もあります。
必要に応じた治療や生活の指導により、多くの新生児は健康に発育することができます。

新生児マススクリーニング検査の実施方法

  • 採血

    採血

    出生医療機関にて、生後4-6日目に、赤ちゃんの“かかと”からほんの少しの血液を”ろ紙”に取ります。ろ紙は十分に乾燥された後、当協会宛に専用封筒で郵送されます。

  • 受付

    受付

    検査に必要な血液ディスクを打ち抜きます。直径3.2mmの小さな血液ディスク4枚で計20疾患の検査を行うことができます。

  • 検査

    検査

    採血後、1週間から10日で検査結果を判定します。

    タンデムマスとは、タンデム型質量分析計の略称です。血液中のアミノ酸や
    アシルカルニチンを高感度で検出・分析することで、フェニルケトン尿症等の17疾患が検査できます。

  • 判定・報告

    正常

    一ヶ月健診までに報告書を郵送いたします。

    再検査

    確実に正常と判断できないときに、念のためもう一度検査します。

    精密検査

    専門の小児科医療機関で、診断してもらいます。

    異常が疑われる場合は、ただちに採血した医療機関を通じてお知らせします。

新生児マススクリーニング検査の実績

宮城県の新生児マススクリーニング対象疾患と疾患別発見頻度をまとめました。

宮城県の新生児マススクリーニング対象疾患と疾患別発見頻度

発見頻度(1事例の発見=検査人数/発見数)

対象疾患名 宮城県 全国頻度
検査数(人) 発見数(人) 頻度
①フェニルケトン尿症 ガスリー法:794,266
タンデム法:143,575
計:937,841
25 3.8万 4.6万
②メープルシロップ尿症 1 93.8万 84万
③ホモシスチン尿症 0 112万
タンデムマス
一次対象疾患
④シトルリン血症Ⅰ型 143,575 1 14.4万 31万
⑤アルギニノコハク酸血症 0 112万
⑥メチルマロン酸血症 0 12万
⑦プロピオン酸血症 5 2.9万 4.1万
⑧イソ吉草酸血症 0 67万
⑨メチルクロトニルグリシン尿症 0 15万
⑩HMG血症 0
⑪複合カルボキシラーゼ欠損症 1 14.4万 112万
⑫グルタル酸血症Ⅰ型 1 14.4万 28万
⑬MCAD欠損症 0 13万
⑭VLCAD欠損症 1 14.4万 9.3万
⑮三頭酵素欠損症 0
⑯CPT1欠損症 2 7.2万 42万
⑰CPT2欠損症 0 26万
タンデムマス
二次対象疾患※
シトリン欠損症 2 7.2万 9.6万
βケトチオラーゼ欠損症 1 14.4万
CACT欠損症 0
全身性カルニチン欠乏症 0 20万
グルタル酸血症Ⅱ型 0 48万
内分泌疾患 ⑱先天性甲状腺機能低下症 893,047 469 1.9千 3千
⑲先天性副腎過形成症 634,513 31 2万 1.7万
その他 ⑳ガラクトース血症 937,841 23 4.1万 3.8万

※ 厚生労働省が対象としている疾患以外に見つかる可能性の高い疾患

拡大新生児スクリーニング検査のご案内

当協会では、新生児マススクリーニングのろ紙血を用いて、以下の項目を有料の任意検査として実施しております (検査費用は保護者負担となります) 。

検査により、早く見つけて治療を行うことで、病気の発症を未然に防止することや症状の進行を抑えることが期待できます。

新たな採血などの赤ちゃんへの負担はありません。検査は、産科医療機関でお申し込みください。

対象疾患

原発性
免疫不全症
(PID)
“免疫”に生まれつきの異常があるために、感染症を繰り返したり、重症化したりしてしまう病気
重症複合免疫不全症(SCID)、B細胞欠損症の2疾患が対象

生ワクチン接種前の受検をお勧めします

脊髄性
筋萎縮症
(SMA)
“特定の遺伝子”に生まれつきの異常があるために、運動発達がとまるなど、乳児期に亡くなることもある病気
ライソゾーム病
(LSD)
細胞の代謝をコントロールする“ライソゾーム”内の特定の酵素がうまく働かないために、様々な症状が出る病気
ポンペ病、ファブリー病(対象は男児のみ)、ムコ多糖症Ⅰ型、ムコ多糖症Ⅱ型 の4疾患が対象
副腎白質
ジストロフィー
(ALD)
副腎や脳、脊髄に異常が起こる病気 (対象は男児のみ)

配布リーフレット(※宮城県版)

リンク

お問合せ

一般財団法人 宮城県公衆衛生協会 代謝異常検査室
TEL 022-771-5747 (直通) 9:00~17:00

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